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創造都市 vol.3

2007年10月31日

RYUDOTAI勉強会071031 発表:T
テーマ:「創造都市」建築編 ~建築をとりまく制度と、「法改正」からみえてくること~

1.建築士制度について ~目的と役割の変遷~
●日本の場合。富国強兵策→外国人技師によるエリート育成→伝統工法の衰退→1950年法制定→主に設計監理業務
建築士法 第一条  この法律は、建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格を定めて、その業務の適正をはかり、もつて建築物の質の向上に寄与させることを目的とする。
●海外の場合。アメリカ、イギリスなどの欧米は、医師や弁護士に並ぶ公益のために働く専門家(職能人)≒建築家
韓国は日本と類似。中国はまだまだ行政主導。建築家の起源はルネサンス期。建築士≒専門技術者資格。
「資格法」→「職能法」への闘い。
●沖縄(地方)の場合。伝統木造工法→近代技術の導入→米軍技術→1955年沖縄県建築士会創立

2.単体の建築行為に関する許可申請制度とまちづくり ~地区計画条例の事例から~
●建築基準法や建築士法以外に、建築行為には、都市計画法、景観法など様々な法令が関係する。
●地区計画条例の場合→主に形態規制→容積率、建蔽率、壁面後退、色、塀や生垣、屋根形状、地盤高さなど
●その強制力は、融資や申請が絡むので、個人の建て主は従わざるをえないという状況。
●建主:「まあ、街並みがよくなるらしいし、えんじゃないの?」、「俺の土地に誰がそんなルールつくったんだYo!」
●条例成立の手続きは、複雑であり長期化するため、現行法に肉付けするのみの最大公約数的な内容となりがち。

3.「ザル法」と呼ばれて~♪・・・ ~全国一律的な法規通りに進めざるをえない行政担当者と、個人との闘い?~
●【ザル法】・・・法律で禁止されているにもかかわらず、遵守率が低く取り締まりも形骸化している法律
  道路交通法、売春防止法、建築基準法、商法、刑法(賭博罪)、労働基準法(残業)、アセス法などなど
建築基準法 第1条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。
●違法建築の割合、大半はみてみぬふり。建築士の面目。庶民の味方の建築士。
●東横イン的建て主、石垣島7階建てマンションなどは、規制されるべき。
●ただ、一般の建築物は、「利回り(収支/事業費)、立地、築年数」の投資対象でもある。

4. 改正建築基準法施行(6/20)からみる官僚の体質 ~道州制も結局利用される可能性~
●耐震偽造事件を受けての改正建築基準法施行(6/20)による消費者のメリットは・・・。
●問題の責任をすり替え、法案で利権拡大へ誘導する官僚の体質。消費型マスコミ報道。
→ やっぱり単独州となっても、予算権(?)、立法権、司法権は・・・。

5.結び:文化創造と建築
●「建築士」を職能意識のある「建築家」へ。道州制などのマクロな視点と、地域の一個人としての視点を持つ専門家。
●日本の住宅について。数のストックから質のストックへ。単なる投資対象ではない建築物を。
新築住宅着工数は、年約125万。アメリカと同等だが、中古住宅流通は、日本:アメリカ=16万:438万で、約28倍。平均建替えは、日本46年。アメリカ77年。イギリス125年。(1997前後)
●現行の基準法の限界→それ以外の創造的選択。確認制から許可制へ。リスクを負うということ。
●コミュニティイベントやアートプロジェクトとの連携(職能として):横浜、栄町、地域自治体との


(参考資料)
・佐々木雅幸ほか編、「創造都市への展望」、学芸出版社、2007
・藤中寛之編、「沖縄の道州制Q&A」、2007
・建築士会編「沖縄建築」、など。

(おまけ:「教科書検定問題」と「改正基準法問題」との役者比較)
弱みを握られているという意味で、「教科書会社=構造ソフト会社」
責任とらずという意味で、「文部科学省=国土交通省」
利用されたという意味で、「検定委員会=構造技術委員会」
矛盾を抱えつつ仕事をしないといけないという意味で、「教師=建築士」
気づいたときにはもう遅いという意味で、「一般人=施主」


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Posted by ryudotai at 23:59│Comments(0)創造都市
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